ピルを服用するとうつ病のリスクが上昇するって本当?

ピルを服用することには健康上に色々なリスクが存在するとの見解がかねてより主張されてきました。最近注目を集めているのは、うつ病や乳がんの発症リスクが上昇するのではないか、という見解です。細菌発表された研究結果によると、ピルの服用期間と乳がんの発症リスクの間には何らかの因果関係が存在するとの仮説のもと、長期間服用するグループでは非服用群に比較すると乳がんの発症リスクについて、有意差が観察されたというものです。しかし乳がんなどの発がんリスクについては、反対に、経口避妊薬を飲むことにより低下するとの研究結果も存在することから、現時点において真偽のほどは明確でない状況です。

それではピルを服用すると気分が落ち込むあるいは、気分が不安定になるなどのうつ病のリスクが上昇するのではないか、との見解の真偽はどうなのでしょうか。かねてより女性ホルモンを服用することで、気分が落ち込むなどの症状につながる関連性を指摘する見解は表明されていたところです。しかしながら女性ホルモンを投与することによる、気分が落ち込む情緒は不安定になるなどの、精神症状のおきるメカニズムは不明な点が多く、すべてが解明されたわけではありません。

低用量ピルなどの形で、女性ホルモンを投与することとうつ病の関連性を指摘する研究結果がデンマークの研究者より発表されました。デンマークの研究グループは、15歳から34歳の年齢の女性で過去にうつ病の既往歴がなく、抗うつ病薬の服用歴や不妊治療の経験がない条件で、2000年から2013年までデータを追跡し、女性ホルモン薬とうつ病診断などとの関係を研究しています。
その研究で明らかにされたのは成人女性において、ピルを服用している場合は非服用群に比較すると、うつ病のリスクが1.23倍上昇することが明らかになっています。またプロゲストロン単独を配合したタイプを使用すると、うつ病のリスクは1.34倍でした。

このようにピルを使用することと、うつ病の間の因果関係を解明する研究者からはいくつかの見解が主張されています。避妊薬の使用とビタミンB群やビタミンC、亜鉛やセレン・マグネシウムなどのミネラル類が欠乏することに注目する見解もあるようです。しかしながらうつ状態などの精神病理が発生するメカニズムなどは不明な部分が多いのが現実です。そもそもピルを使用する環境は、妊娠や出産を控える必要性に直面していることが多いことが推定されます。就業しながらそれなりに社会的地位にも立っていれば、日常的なストレスも相当なものです。そのためピルを使用する母集団は、日常的にうつ状態になりやすい環境におかれていると評価しても強ち間違いではないでしょう。したがって気質的に精神に失調を来たしやすい日常生活を余儀なくされている側面があるのかもしれません。
いずれにしてもピルを使用中に、気分が重くやる気も出ない症状が出現したときは、精神面のケアも検討するのが賢明です。